築土庵 :Earth Sauna

築土庵 :Earth Sauna

活動概要

2020年より千葉県鴨川市釜沼北集落にある木造2階建ての納屋をサウナと居室に改修した。釜沼北集落には棚田や茅葺屋根と土壁の古民家が今も残っており、都市農村交流の一環で維持・更新がなされている。納屋は、都市農村交流の一環で訪れる人達の交流・宿泊スペースとして利用される。改修にあたり、建物の利用だけでなく改修行為自体が集落環境の維持・更新に寄与することを目指している。

 

里山の資源を生かした設計

「築土庵」は「けいじ」と呼ばれる古民家の脇に建っていた納屋の改修である。このプロジェクトでは、前もって計画することはできず、目の前の環境と資源に向き合いながら時間をかけて作り上げていった。既存建物の周辺や西側の休耕田は水捌けが悪く、土中改善を行った際に大量の土が発生した。また、東側の竹林は荒れていたため間伐を行い、多くの竹が得られた。周囲の棚田では秋には稲刈りを脱穀を行い、籾殻と藁を収穫した。このような里山の保全活動を通して得られる資源を活用しながら設計を行った。具体的には土で版築壁を築き、竹ずりを下地に土壁を塗り、籾殻・藁を用いて断熱を行った。版築は4tと重く、地盤も緩かったため伝統的な地業基礎を学び松杭を打ち、割栗石で周りを固めた上に版築を打つことで土中の水や空気の流れを遮らないような計画とし、版築の足元部分は石灰層を設けて耐候性を高めた。

 

平面・断面計画

1階は、耐震性に配慮した剛性バランスに加えて沈下による傾きを最小限に抑えるために平面的にもバランスの良い重量分布にすることが重要だと考え、版築をシンメトリーな配置とした。また、版築は十分につき固めることが重要であるため、突きにくい箇所が発生しないよう版築の壁内に開口などを設けないことで素人でも施工が容易にできるような計画とした。下屋と庇の雨落ち部分には横溝と縦穴掘りを行い、有機物と砕石を埋設し、雨水の土中への浸透を促している。2階は、西側は木ずり下地の上に土壁を塗り、耐震要素とした。みかん畑の広がる西側に大きな開口をとり、南北面の東側に小さな開口を設け、眺望と通風・採光を確保した。

01_基本図面(1_100)_平面図2F_アートボード 1

施工の工程

64_版築壁
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