伝統知PJ 
 高度経済成長期に都市郊外に開発された住宅地は、丘陵地や台地といった斜面地に造られたものも多い。その後、都市人口の増加に伴い、自然環境条件への配慮が十分でないまま高密度化されてきたが、近年は少子高齢化の進行により空き家率も高まり、インフラの老朽化も深刻化している。
 日本における中山間地域や離島などの集落も、同様に斜面地に造られているものが多く見受けられる。しかし、現代の住宅地は居住用途に限定されているのに対し、これらの集落は農業や漁業といった生業と密接に関係している。例えば、農業を主な生業とする斜面地集落では、適切に日射取得できるように農地と民家を配置する「伝統知」とも呼ぶべきものを見ることができ、漁業を主な生業とする集落では海からの強風に対して屋外空間を守るための防風の「伝統知」が存在する。
  これらの「伝統知」の多くは、地域で採取できる自然素材を活用した土着的なものでつくられた、地域の生業や生態系と密接に関係したものであり、持続可能性という観点でも注目すべきものである。
 そこで本PJでは、これらの「伝統知」を学び、 これからの建築・地域デザインに活用する上での指針を示す事を目的とし、「伝統知」の仕組みを明らかにした上でその効果を定量的に検証することで現代への適用可能性の検討を行う。
 ※伝統知:伝統的集落に残る地形や生業に基づく知恵や工夫

term   徳島県にし阿波、宮崎県高千穂、石川県能登 など
site     2020年4月〜
outline  日本全国の伝統集落の文献調査及びフィールドワーク
keyword  伝統知 防風 日射 自然素材 伝統構法 生態系 生業 環境シミュレーション
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